生殖細胞が胚体外に生じる意義を問う
-
- 齋藤 大介
- 研究代表者
- 九州大学
研究課題情報
- 体系的番号
- JP18H02445
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
- 研究課題/領域番号
- 18H02445
- 研究種目
- 基盤研究(B)
- 配分区分
-
- 補助金
- 審査区分/研究分野
-
- 小区分44020:発生生物学関連
- 研究機関
-
- 九州大学
- 研究期間 (年度)
- 2018-04-01 〜 2022-03-31
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 17,160,000 円 (直接経費: 13,200,000 円 間接経費: 3,960,000 円)
研究概要
「生殖細胞が胚体外に生まれる意義」は発生生物学における大命題であるがいまだ不明である。我々は「生殖腺外での生殖細胞の維持機構と移動機構」の解明を通してこの問題に迫ることとした。材料は始原生殖細胞(PGC)が生殖線までの移動路として血管を使用する鳥類胚である。我々はPGCが血管内に位置を換える細胞機構(血管形成時の内皮細胞によるPGC取り込み)、PGCが血管内から血管外へ遊出する機構(PGC高弾性による毛細血管でのトラップと膜ブレブによる血管外遊走)を明らかにした。さらに、FGFシグナルの過剰インプットによりPGCが腸管膜内でクラスターを形成することも見出した。
本研究から得られたPGCが血管内に入り、血管外に出る機構の理解はがん細胞の血行性転移の理解に直結する。がん細胞の血行性転移の機構は体内深部で起こるため捉えにくく細胞レベルでの理解が遅れているが、詳細な生体イメージングが可能な鳥類PGCの血行性転移解析系のインパクトは極めて大きい。胚細胞腫瘍は生殖線まで移動できなかったPGCが変容してできる腫瘍と考えられるが、その発症機構の大部分は不明である中で、今回我々は過剰なFGFインプットが腸管膜におけるPGCの腫瘍化を引き起こすことを見出した。生殖細胞が胚体外に生まれる意義の理解自体、学術的にも大きなインパクトがある。