分子集合体型薬物ナノカプセルの内部物性制御に基づく体内動態制御
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- 岸村 顕広
- 研究代表者
- 九州大学
研究課題情報
- 体系的番号
- JP18H03534
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
- 研究課題/領域番号
- 18H03534
- 研究種目
- 基盤研究(B)
- 配分区分
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- 補助金
- 審査区分/研究分野
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- 小区分90120:生体材料学関連
- 研究機関
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- 九州大学
- 研究期間 (年度)
- 2018-04-01 〜 2022-03-31
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 17,030,000 円 (直接経費: 13,100,000 円 間接経費: 3,930,000 円)
研究概要
本研究では、特にポリイオンコンプレックス(PIC)型ベシクルPICsomeに焦点を絞り、検討を実施した。まず、架橋や化学修飾の併用などで物性の調節を行い、その評価を行った。特に、PIC膜のシリカハイブリッドの効用を明らかとした。この過程で、グアニジニウム基導入ポリカチオンを用いてアニオン性抗菌薬を用いてベシクルが作製可能であり抗菌薬送達法として有用であった。また、タンパク質含有ベシクルの物性検討の過程で、タンパク質濃縮コアを有するyolk-shell PIC構造体や多重膜PICsomeの作製法を世界に先駆けて発見した。この他、スルホベタインポリマーが粘膜組織透過性に優れることを明らかとした。
本研究では、分子集合体型薬物ナノカプセルとしてPICsomeに注目したが、他のナノカプセルでは実現が容易でない成果をあげられた。例えば、タンパク質の封入効率の大幅な向上、ユニラメラベシクルから二枚膜ベシクルを系全体で均一に作製できたこと、水溶性抗菌剤からベシクルが作製できたことなどが挙げられる。これらは疎水膜からなるリポソームなどのベシクルでは容易にできることではなく、今後の薬物送達システムの開発や、人工オルガネラ・人工細胞の開発でも重要な意味をもつ。また、これらの技術は、水系だけで操作できる部分がほとんどであるため、環境調和型技術として、幅広い産業で応用が期待できる。