東アラブ地域の非公的政治主体による国家機能の補完・簒奪に関する研究
研究課題情報
- 体系的番号
- JP18H03622 (JGN)
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
科研費情報
- 研究課題/領域番号
- 18H03622
- 研究種目
- 基盤研究(A)
- 配分区分
-
- 補助金
- 審査区分/研究分野
-
- 中区分6:政治学およびその関連分野
- 研究機関
-
- 東京外国語大学
- 研究期間 (年度)
- 2018-04-01 〜 2023-03-31
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 43,680,000 円 (直接経費: 33,600,000 円 間接経費: 10,080,000 円)
研究概要
中東は「ポスト・イスラーム国段階」とでも言い得る新局面に迎えた。このことは、イスラーム国の温床となってきた「弱い国家」や権威主義的支配が解消したことを意味せず、各国における国家再建や復興の前途は多難である。だがその一方で、国家の法的・制度的枠組みの外に身を置き、紛争や混乱のなかでその弱体化を誘引してきた非公的政治主体のなかに、国家機能を補完しようとすることで、事態打開に貢献しようとするものも現れた。本研究は、東アラブ地域における非公的政治主体に焦点をあて、それらがいかなる政治的、社会的な条件のもとで、国家再建や復興において積極的、あるいは否定的な役割を担おうとするのかを解明することを試みた。
本研究では、「情報戦の縮刷版」とでも呼ぶべきインフォスフィアの構築と、現地の研究機関との連携・研究委託を通じた質的研究と量的研究の統合、という二つの手法を駆使し、多様化する非公的政治主体が国家の機能を補完、ないしは簒奪し、国家と社会を架橋しているのかを明らかにすることで、ポスト・イスラーム国段階を迎えた東アラブ地域の安定化の可否、国家・社会関係、そして「准国家」や「国家内国家」と社会の関係の将来を展望したことに学術的意義がある。また、本研究において得られた知見に基づいて、国家再建や復興を推し進めている同地域の公的・非公的政治主体の営為への支援の方途に指針を提供し得る点に社会的意義がある。