九州北部豪雨による流木被害の要因と影響:森林環境政策の合意形成に向けて
研究課題情報
- 体系的番号
- JP18H04152
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
- 研究課題/領域番号
- 18H04152
- 研究種目
- 基盤研究(A)
- 配分区分
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- 補助金
- 審査区分/研究分野
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- 中区分64:環境保全対策およびその関連分野
- 研究機関
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- 九州大学
- 研究期間 (年度)
- 2018-04-01 〜 2022-03-31
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 38,870,000 円 (直接経費: 29,900,000 円 間接経費: 8,970,000 円)
研究概要
本研究は平成29年7月九州北部豪雨を事例に土砂・流木災害の要因と影響を分析し、森林ゾーニング手法と復興課題を検証した。その結果、20年生以下の林分を起点として山腹崩壊した割合が高く、当地に多いスギ人工林を中心に流木化し、途中で流木が停止しうる地形が乏しかったことが流木流出量を増大させたことを指摘した。また、災害発生から5年間、被害箇所の植生と渓流環境の変化を定点観測し、花崗岩地質で回復が遅れるなど地質によって回復程度が異なること、完全な回復には更に年月を要することを指摘した。社会的には、災害を契機に集落の過疎化の進展がみられるが、景観や文化の再生や創出が災害復興過程に重要であることを示した。
学術的意義は、災害研究の学際化という点である。森林の土砂災害研究はその発生メカニズムについて砂防学研究が担ってきたが、他の森林科学研究分野および地盤工学、芸術工学研究者の参画によって、土砂・流木被害の要因と影響、災害後の地域復興過程を調査した。その成果を日本森林学会等で報告し、国際誌への掲載によって、森林科学分野における災害研究の進展に寄与した。 社会的意義としては、被災地復興に寄与し、自然災害後の景観や文化的復興の重要性を示したことである。参与観察とアクションリサーチを実施し、豪雨被災集落の支援を行い、被災流木による彫刻作品を小学校等へ寄贈するなど文化創造に寄与し、報道もなされた。