生成文法の枠組みにおける量化に関する方言研究
研究課題情報
- 体系的番号
- JP18K00574
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
- 研究課題/領域番号
- 18K00574
- 研究種目
- 基盤研究(C)
- 配分区分
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- 基金
- 審査区分/研究分野
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- 小区分02060:言語学関連
- 研究機関
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- 大阪大学
- 研究期間 (年度)
- 2018-04-01 〜 2023-03-31
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 4,420,000 円 (直接経費: 3,400,000 円 間接経費: 1,020,000 円)
研究概要
本課題は、近年の実験語用論の分野における理論的な発展を踏まえ、日本語の論理接続詞の統語的ならびに意味的な振る舞いを明らかにすることを目的とした。特に日本語の選言接続詞「か」に焦点を当て、2種類の主格主語を有する肥筑方言を対象にその解釈を精査し、当該接続詞は救出効果を示す肯定極性項目であり、その作用域決定に統語的な焦点化移動等は関与していないことを明らかにした。さらに、フリジア語と肥筑方言の比較等、方言データをもとに焦点化と削除の関係について検討し、統語的に焦点化素性が他の(形式)素性を活性化することを明らかにした。また、この種の素性活性化は「が」格目的語の認可にも見られることを示した。
言語と思考の関係を解明する手掛かりとして、自然言語の論理接続詞の特性を明らかにすることは有意義である。よって本課題において、日本語の選言接続詞の特性(救出効果)を明らかにしたことは、言語と思考の関係を明らかにする上で重要な貢献になる。また、選言接続詞の作用域がその意味的な性質によって決定されるのであれば、他の量化詞等についても更なる検討が必要であることを意味する。 さらに、統語構造構築の段階で素性の複合体によって統語操作が牽引されうることを示したことは、特にAgree操作における(形式)素性の役割を解明する手掛かりとなり、統語理論の発展に大きく貢献するものである。