壬辰戦争期、明朝から日本に贈られた箚付・冠服類の総合的研究
研究課題情報
- 体系的番号
- JP18K00986 (JGN)
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
科研費情報
- 研究課題/領域番号
- 18K00986
- 研究種目
- 基盤研究(C)
- 配分区分
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- 基金
- 審査区分/研究分野
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- 小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
- 研究機関
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- 山形大学
- 研究期間 (年度)
- 2018-04-01 〜 2022-03-31
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 4,290,000 円 (直接経費: 3,300,000 円 間接経費: 990,000 円)
研究概要
壬辰戦争期に明朝から上杉景勝に贈られた冠服と箚付(上杉神社所蔵)は、2018年に国の重要文化財として分割指定された。研究代表者の新宮学は、この景勝冠服と京都妙法院所蔵の秀吉冠服は、陪臣と国王との違いはあるとはいえ、相互に補完し合う関係にあることを明らかにした。 今回の指定では、明服の胸背部分に縫い付けられた、官位を示すゼッケン状の補子の文様は、斗牛文とされた。これに対し、分担研究者の佐藤琴は、図像学的研究の視点から分析し、8世紀中国で登場した「紺丹緑紫」と呼ばれる配色法で、1対の翼翅が描かれていることから飛魚文と結論付け、再考の余地があることを指摘した。
従来の重要文化財指定では、上杉景勝に贈られた明朝冠服も日本服飾史の延長上で説明されてきた。2018年の分割指定の名称変更では、中国服飾史上に位置づけた点で大きく改善された。 本研究では、近年進展目覚ましい中国の明朝服飾研究の成果を踏まえることの重要性を一層明らかにした。そもそも、これらの冠服類は、壬辰戦争(1592~98年、文禄・慶長の役)で日・明間の講和交渉にあたり、日本国王冊封のアイテムとして用いられたものである。当時、明朝を中心とした冊封体制は変質を迫られていたとはいえ、、これらの冠服や箚付は、今後東アジア地域共有の文化財として認識したうえで、研究する必要があることを明らかにした。