歴史的転機としての「二・四事件」に関する総合的研究
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- 前田 一男
- 研究代表者
- 立教大学
研究課題情報
- 体系的番号
- JP18K02371 (JGN)
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
科研費情報
- 研究課題/領域番号
- 18K02371
- 研究種目
- 基盤研究(C)
- 配分区分
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- 基金
- 審査区分/研究分野
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- 小区分09010:教育学関連
- 研究機関
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- 立教大学
- 研究期間 (年度)
- 2018-04-01 〜 2023-03-31
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 2,600,000 円 (直接経費: 2,000,000 円 間接経費: 600,000 円)
研究概要
「二・四事件」(「長野県教員赤化事件」)は、児童と教師、学校と地域、県と教育会と文部省・内務省とを切り結ぶ重大な出来事であり、長野県だけではなく日本の教育史上に歴史的転機をもたらした大事件であった。 今回新たに発掘された「長野県ニ於イテ左翼運動ニ関与セル小学校教員ノ手記」を翻刻し、治安維持法下での目的遂行罪で検挙された教師たちが、教育運動に対して自覚的ではなかった事実を明らかにし、従来教育運動の中心人物からのみ描かれていた歴史的評価とは異なる解釈を示して、意図的に構築されたこの事件の全体像を捉えなおそうとした。手記や関連資料の復刻、新聞資料などは、研究成果報告書として刊行した。
「二・四事件」は、「信州教育」と称される日本を代表する教育県で起こった象徴的な事件であるだけに、90年後の今日までも影響力のある事件であり続けている。 1990年代初頭から始まった組合主催の「二・四事件」に学ぶ集会は、今日に至るまで集会を継続している。一方、信濃教育会は、「二・四事件」への積極的な総括をしていない。ただ、「教権の独立」を従来からの方針としている信濃教育会にとって、戦前の治安維持法と近年の共謀罪法との関連を考えると、「二・四事件」は改めて自らに問うべき課題となっている。今回の研究成果は両者に共有されており、改めて歴史的課題を現代的課題として問題提起したのではないかと考えている。