アルコキシメチル基を利用する立体選択的グリコシル化の開発と全合成への応用
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- 鳥飼 浩平
- 研究代表者
- 九州大学
研究課題情報
- 体系的番号
- JP18K05462 (JGN)
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
科研費情報
- 研究課題/領域番号
- 18K05462
- 研究種目
- 基盤研究(C)
- 配分区分
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- 基金
- 審査区分/研究分野
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- 小区分38040:生物有機化学関連
- 研究機関
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- 九州大学
- 研究期間 (年度)
- 2018-04-01 〜 2023-03-31
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 4,420,000 円 (直接経費: 3,400,000 円 間接経費: 1,020,000 円)
研究概要
研究開始当初,2-O-アルコキシメチル(AM)糖供与体を用いたグリコシル化は,メトキシメチル基の1例に限られており,その反応は1,2-cis選択性を示すと報告されていた.これに対し我々は,AM基の酸素原子がオキソカルベニウムイオンに隣接基関与するならば,逆の選択性が発現するはずであると考えた.種々検討の結果,反応は我々の想定通り,数十例全てにおいて1,2-trans選択的に進行することがわかった.また上記糖供与体が既存の2-O-アシル体よりも高い反応性を有していることも見出し,ワンポット連続グリコシル化反応の開発にも成功した.さらにその過程で,嫌気条件で固体を添加できる簡便な装置も開発した.
本研究では,1例の誤った情報から1,2-cis選択的であると考えられていた2-O-アルコキシメチル(AM)糖供与体のグリコシル化が,本当は1,2-trans選択的に進行することを世界で初めて報告した.さらに2-O-AM供与体が,非常に高い反応性を有することを見出した.これらは糖鎖合成化学に大きなインパクトをもたらした. <BR> さらに不活性ガス雰囲気下の固体試料添加に一つの答えを提供したことは,糖鎖合成化学者のみならず有機・無機を問わず合成化学に携わる全ての研究者の助けとなると考えられる.さらに物理化学等への応用も期待できる.これを機に化学がより加速度的に発展すれば学術はもちろん社会的意義にもつながる.