戦間期ドイツにおける義勇軍経験と反ファシズムの主体形成:暴力のヨーロッパ史再考
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- 今井 宏昌
- 研究代表者
- 九州大学
研究課題情報
- 体系的番号
- JP18K12536
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
- 研究課題/領域番号
- 18K12536
- 研究種目
- 若手研究
- 配分区分
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- 基金
- 審査区分/研究分野
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- 小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
- 研究機関
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- 九州大学
- 研究期間 (年度)
- 2018-04-01 〜 2024-03-31
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 3,640,000 円 (直接経費: 2,800,000 円 間接経費: 840,000 円)
研究概要
本研究は、ヴァイマル初期のドイツで活動した志願兵部隊・義勇軍の経験と、そこで培われた「暴力を辞さないアクティヴィズム」が、戦間期全体を通じ反ファシズムの主体形成にどのように作用したのかを検討することにより、「暴力のヨーロッパ史」研究の再考や戦間期という時代の再評価に寄与することを目的とするものである。成果としては、義勇軍(Freikorps)出身のナチでありながらも、最終的にドイツにおける反ナチ抵抗運動、あるいはフランス・スペインにおける人民戦線への支援に携わったボード・ウーゼやアレクサンダー・シュテンボック=フェルモアに関する研究を中心に、4本の論文、2冊の共著、1冊の共訳書を得た。
本研究の最大の成果は、義勇軍出身の右翼作家、アレクサンダー・シュテンボック=フェルモアの著作活動と、そこにおけるコミュニストへの「転向」の契機を、彼の自伝的小説や社会ルポルタージュの分析を通じて明らかにした点にある。義勇軍とその経験が多様な政治的方向性は持つことは、すでに先行研究でも明らかにされてきたが、本研究は義勇軍⇒右翼⇒コミュニストという政治的道程を、シュテンボック自身の義勇軍経験と労働(者)経験の混交という視点から具体的に跡づけるとともに、そこに男性性や女性観といったジェンダー的視点からの分析を加えた点で、世界的に見ても新規性をもつといえる。