SATB1はゲノムのオーガナイザーと呼ばれ、核内におけるDNAの構造変化に寄与する。この遺伝子は悪性化した乳がん細胞で顕著に発現し、がんの転移に関連する遺伝子の発現を促している事が報告されている。これらの遺伝子座の幾つかはスーパーエンハンサー(SE)と呼ばれる高密度エンハンサーの集合体を形成し、強力な遺伝子発現誘導が起こっている事が予想されるが、本来形成されない部位でのSE形成機構は明らかになっていない。そこで本研究では悪性化した乳がん細胞に高発現するSATB1と、その異所的なSE形成との関連性を明らかにする。