消化吸収障害の病態生理の解明-胆汁酸ミセル化能と不攪拌水層からの検討 -
研究課題情報
- 体系的番号
- JP63570618 (JGN)
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
科研費情報
- 研究課題/領域番号
- 63570618
- 研究種目
- 一般研究(C)
- 配分区分
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- 補助金
- 審査区分/研究分野
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- 医学 > 外科 > 消化器外科学
- 研究機関
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- 東北大学
- 研究期間 (年度)
- 1988 〜 1988
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 2,000,000 円 (直接経費: 2,000,000 円)
研究概要
我々は従来より、小児外科術後の短腸症候群と先天性胆道閉鎖症術後の 栄養管理およびfollow upにて糖、アミノ酸、脂質代謝を検討してきた。昨 年度、本研究費を用い以下の研究を行ったので結果とともに報告する。1.短腸症候 群におけるfollow up:小児にては残存小腸50cmあたりに栄養素吸収の 限界があり、脂質に関しては残存小腸50cm以下では便中胆汁酸、なかでも一次胆 汁酸の増加に伴い下痢が増悪し便中脂肪排泄の増加を見、必須脂肪酸欠乏に傾くこと がわかった。2.動物実験にて胆汁排泄障害モデルを作製、清浄用脂肪乳剤の腸管吸 収に関してコントロール、胆汁排泄障害モデル群、前記モデルにUDCA付加投与群 にて血中脂質、カイロミクロンの変動を検討した。その結果、胆汁排泄障害モデルに てもやや時間の遅れはあるが血中脂質、カイロミクロンの上昇がみられ、静注用脂肪 乳剤、即ち長鎖脂肪酸はミセル化されなくとも吸収され得る事が、またUDCA付加 にては脂肪乳剤の吸収は促進されない事がわかった。3.臨床例にて胆道閉鎖症の患 児の胃内に脂肪乳剤のみ投与、脂肪乳剤と自己胆汁投与、脂肪乳剤と自己胆汁に加え UDCAの付加投与の3群にて腸液ミセル濃度、血中脂質、便中脂肪排泄量の変動を 検討した。その結果、いずれの群でも腸液中ミセル濃度は極めて低かったが、対象群 に比し、自己胆汁およびUDCA付加群では血中カイロミクロンは上昇し、便中脂肪 が少ない傾向にあった。すなわち先天性胆道閉鎖症の術後早期には、胆汁が出ている とはいえその機能は正常とはほど遠く、清注用脂肪乳剤の様な長鎖の脂肪酸は膵リパ ーゼの消化により直接、もしくは乳化剤の親水性により不攪拌水層を通過し腸管吸収 を可能にすると思われた。