文部官僚を中心とした近代日本の教育行政に関する研究

研究課題情報

体系的番号
JP09J08819
助成事業
科学研究費助成事業
資金配分機関情報
日本学術振興会(JSPS)
研究課題/領域番号
09J08819
研究種目
特別研究員奨励費
配分区分
  • 補助金
審査区分/研究分野
  • 社会科学 > 教育学 > 教育学
研究機関
  • 立命館大学
研究期間 (年度)
2009 〜 2010
研究課題ステータス
完了
配分額*注記
1,400,000 円 (直接経費: 1,400,000 円)

研究概要

【研究の目的】本年度は、明治前期(元田・伊藤の「教育議」論争以前)における文部実務官僚層の意識や思想を素材として、彼らが知育と徳育をいかなる関係性で捉えていたのかを明らかにすることを、研究の目的とした。 【研究成果】本年度は、上記研究目的を達成するために、「江藤新平関係文書」や「三島通庸関係文書」など佐賀県立図書館や国立国会図書館に所蔵されている資料などを調査し、次のような成果が得られた。 明治前期の文部官僚層の教育行政(「知育」と「徳育」をいかに施すか)にかんする思想は次の三類型に分けられた。○類型A:「知」洋学「徳」宗教(神道)○類型B:「知」国学「特」宗教(神道)○類型C:「知」洋学、「徳」非宗教(治教)類型Aは江藤新平に代表される考え方であるが、これは、知育と徳育とを分離したものと捉え、知育には近代化(富国・強兵)を達成するために洋学を、徳育は神道国教化政策と歩を合わせて神道を中心に構成される宗教教育を行おうとしたものである。類型Aでは、神道による宗教教育がかなり重要なものとして捉えられており、洋学を用いた知育は、徹底的に、近代化が達成されるまでの手段と考えられていた。 類型Bは類型Aに対抗する言説として登場してきたものである。三島通庸に代表的に見られる考え方で、知育と徳育とを一体として捉えようとする。そのため彼らは、知育を施すツールを作り出すことを重視し、国字改良などを展開していた。こうした彼らの運動は、新たな国字辞書の編纂事業などを通じて明治期なかばまで根強く残り続けた。 類型Cは、従来の研究でいわゆる「開明派」官僚として理解されてきた人々に多く見られる考え方である。類型Cに関して本研究のオリジナリティとして明らかにしたのは、彼らは徳育重視しており、非宗教的な徳育を、彼らが「天皇の治教」という言葉でしか表現しなかったことが、後の徳育論に大きな影響を及ぼしたことを指摘した。

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