企業が自ら実現したイノベーションから、その利益をいかにして回収することができるかという問題は「専有可能性問題」と呼ばれている。専有可能性は、イノベーションに対する企業のインセンティブを理解する上で鍵となる概念である。本研究では、専有可能性問題が1990年代後半以降の日本企業においてどのように変容してきたのかを調査・分析することにより、イノベーションの収益率を改善させるための経営課題を明らかにしようとするものである。