空間・時間反転対称性が同時に破れると、電流の流れる方向によって電気抵抗が異なる「非相反電荷輸送現象」が起こりうる。通常、この現象は、空間反転対称性の破れた物質に磁場を加え、時間反転対称性を破ることで発現するが、超伝導体を対象とする場合は、その磁場による超伝導破壊という副次的効果が起こりうる。そこで、本研究では、流れ、より具体的には、直流電源や円偏光を用いて注入する超伝導電流が、マイクロスコピックに時間・空間反転対称性を破ることに着目し、「磁場」に並ぶ新たな場としての「流れの場」を与えることで誘起される非相反電荷輸送現象を探索する。