造血幹細胞移植後の腸管からのバクテリアルトランスロケーションによる敗血症は、致死 的な合併症であり、治療成績を大きく左右する。移植周術期の抗菌薬による腸管内殺菌等の 試みにより治療成績は改善したが、長期の抗菌薬投与は耐性菌の定着を促し、治療に難渋す る耐性菌感染症が問題となっている。今までは、無菌室や腸管内殺菌など、環境や病原体に 関わる宿主外の因子に焦点が当てられてきたが、これでは多剤耐性菌の問題は解決できない。 本研究では、従来研究されてきた病原体因子ではなく、宿主因子である病原体の侵入門戸に焦点を当て、新規治療法の開発を行う。