建築を取り巻くあらゆる空間スケールにおける数値流体計算の計算負荷は大きい.その原因のひとつは,非圧縮性仮定によるポアソン方程式の反復計算にあるが, 現行では代数計算効率化,大規模並列化,または計算機性向上を主とするもので,非圧縮性流体の解析アルゴリズムそのものを革新するという発想は観られない.そこで,本課題では,計算格子間を移動する仮想粒子の概念を導入し,新しい方程式体系による陽的解析手法を提案する.屋内外空気流動の非定常流体シミュレーションの普及を最終目標として,繰り返し計算のない陽的解法を提案し,様々な建物周辺流れを対象とした陽的非定常シミュレーションの有用性を提示する.