高齢者の日常生活事故の主たる原因は転倒であり、場合によっては寝たきりや要介護状態へ移行するなど重篤になる可能性もある。転倒リスクは、フレイルの状態にある高齢者に多く見受けられるため、その予防や回復のための介入が望まれる。咬合支持の喪失はフレイル、オーラルフレイルの一因とされており、義歯による補綴治療の有効性が報告されているものの、咬合支持の有無や欠損補綴患者の治療前後でのフレイルに関連する身体機能への影響については不明な点が多いのが現状である。そこで、本研究では日常生活において必要な身体機能である起立動作に着目し、咬合支持の状態および欠損補綴治療が起立動作能力へ及ぼす影響について調査する。