局所的な秩序と大局的な無秩序が共存する時空カオスによる、拡散や伝導といった輸送現象の物理的性質を明らかにするために、電圧を印加した液晶に生じる液晶電気対流を用いて実験研究を行う。 研究手法としては、統計物理学や物性物理学でこれまで発展してきた手法を応用する。まず、時空カオスに混入した微粒子の運動から、ブラウン運動の理論を用いて拡散の性質を明らかにする。また、液晶の磁場応答や微粒子に対する重力を用いて、外力応答の観点から時空カオスの性質を調べる。さらに、揺らぎを記述するために発展した統計物理学の手法を応用し、相関関数や記憶関数から時空カオスの揺らぎの性質を明らかにする。