我が国では,主に高度経済成長期以降に建設された数多くのコンクリート構造物がストックされてきており,社会・経済活動を支えている.一方,アルカリシリカ反応(ASR)に起因するひび割れ等が数多く報告されており,補修の要否の判定や限られた予算での適切な補修工法の選定,補修順位の設定方法が課題となっている.そこで,本研究では,既存コンクリート構造物のコア採取によるASR診断法の確立に向け,膨張率の測定を主とする「物理的特性」に加え,ASRゲルの生成状況,アルカリ溶脱の影響などの「化学的特性」の評価の観点を取り入れ,ASR診断の精度向上に資する基盤的研究を行う.