文化と他分野との連携は、今日の文化政策において重要な課題となっている。しかし、認知症高齢者などが参加する芸術活動の現場では、文化セクター(アーティスト、文化団体、文化行政等)と福祉セクター(介護者、福祉職員、福祉行政等)の専門性の違いから、活動がうまく始められない、あるいは継続が困難というケースが数多く報告されている。本研究の目的は、両セクターの間にある障壁を構造的な問題と捉え、知識・理解、コミュニケーション、制度の3つの観点から分析することで課題を明らかにすること、また、国内外の成功事例を併せて調査することで、障壁を克服する具体的提言を行うことである。