古代ローマ建築において,円筒ヴォールト,交差ヴォールト,ドームなどを建造する際に,コンクリート打設のために組まれた木の型枠が躯体に転写することがあるが,こうした型枠はコンクリート養生後に取り去られるため現物は残らない。3D実測の分解能を上げていくことで,遺構そのものだけではなく,既に失われた型枠の形すら実測することは出来ないだろうか。本研究では,古代ローマ建造物の型枠の転写を対象に,申請者自身が既に確認しているポンペイ,ヘルクラネウム,オスティア,また,ローマではコロッセウム,ゴルディアーニの霊廟,アウレリアヌス城壁において失われた型枠の形の記録・分析を試みる。