薬物性肝障害(DILI)リスクの予測性能を向上させるためには,ヒトin vivo肝組織に近い生理機能を有するヒト初代肝細胞を用いた質量分析マルチオミクス解析が有用である.一方,従来の汎用的な質量分析オミクス計測では,技術的限界から 1×10^6個程度の肝細胞が必要であるため,継代培養のできない高価なヒト初代肝細胞を用いたマルチオミクス解析の実施には至っていない.本研究では1×10^4個のヒト初代肝細胞(従来の100分の1)を用いた質量分析マルチオミクス解析システムを構築し,薬物ごとに異なる肝毒性発症を正確に評価・予測することのできるマルチバイオマーカーの発見と発症機序の解明を目指す.