夜間の屋外や暗い室内などで撮影された写真や動画は,視認性が低い.その視認性の低さは画像認識や解析を困難にする.暗い映像の視認性を高くするコントラスト強調法が提案されているが,ノイズの増幅や過強調を引き起こす.また,明度にのみ着目するため不自然な色が復元されるといった問題がある.一方,夜行性昆虫は数百万年もの昔から,暗闇や薄明かりの環境において,細かい動きやさらには色やパターンまでも識別する能力を磨き上げてきた.本研究では夜行性昆虫の視覚神経系の機能を理解し画像処理アルゴリズムに応用することで,暗い環境で撮影された映像の視認性・明視性を劇的に向上させる.