香りの吸入は、脳機能や神経活動に影響することで生体の変化を誘導する。メイラード反応は食品の加熱調理・加工時に容易に起こる化学反応であり、好ましい香りや色調の変化を介して嗜好性向上に大きく貢献する。とくにメイラード反応で生成する香りは、中枢系や自律神経系へと作用し、食欲の促進や生体の鎮静化に働くことが明らかにされている。 本研究ではこのメイラード反応生成香気に着目し、寿命をはじめとした老化指標や脳機能への影響を解明することを目的とする。また、多くの香気成分の中でも主要な香気成分の検索および同定にも挑む。本研究において、線虫やマウスといった嗅覚応答がみられるモデルを利用し、多面的なアプローチを行う。