本研究は,「家族にケアを要する人がいる場合に,大人が担うようなケア責任を引き受け, 家事や家族の世話,介護,感情面のサポートなどを行っている,18歳未満の子ども」であ るヤングケアラーに焦点を当てる。彼らは「犠牲者」と見られることで,周囲の「正義」によって傷つけられてしまう場合がある。反対に,家族をケアすることに対し,「家族なら助け合って当然」という価値観のもと,ヤングケアラーの本当の困り感に目を向けようとしない人々も少なからず存在する。よって本研究では,このような両価的なスティグマを解消し,ヤングケアラーの多様な思いに目を向けることを促す心理教育的アプローチの開発及びその効果検証を目的とする。