光学活性ヘリセンは、らせん不斉と拡張パイ電子系に由来する様々な特長を持つ機能性化合物として盛んに研究されている。特に、ヘリセンのラジカル種は不斉と不対電子スピン(常 磁性)の両方を有するという特異性から、非常に興味深い化学種である。 1,1‘―ビアズレン骨格からなるヘリセンが安定なカチオンラジカルを与えることが本研究の代表者らによって報告されており、本研究では、この知見を活用して、1,1‘―ビアズレン骨格に基づく 新しいヘリセンを種々合成し、その安定ラジカル種を得ること、さらにラジカル種の物性 (光物性、磁性、電子物性)を詳細に解析する。