「半夏」は日本で使用されている漢方薬の約23%に配合される重要生薬で,カラスビシャクの球茎を原料とする.本種は国内全域に自生しているが,その供給全てを中国からの輸入に頼っている.先行研究で,地上部の光条件が球茎の肥大や有用成分アラバンの蓄積に影響すること,および日本自生系統には6-9倍体が存在することが示唆されており,本研究課題では地上部の光条件が生薬原料である本種の球茎の成長と有用成分アラバンの含量に及ぼす影響を調査し,さらにそのメカニズムの推定を試みるとともに,本種のような高次倍数性変異(6-9倍体)を有する作物の育種を進める上で不可欠な情報である倍数性の遺伝性を明らかにする.