励起子は電子と正孔がクーロン相互作用で結合した準粒子であり,半導体の光物性と光機能を担う中核として長年にわたり膨大な研究がなされてきた.一方でマクロスケールでは電気的に中性とみなされる励起子が,電界などの外場中でどのように輸送されるかの議論は殆どなされていない.本研究の最終目的は,外場中での励起子輸送メカニズムを解明し,励起子を情報担体へと進化させることである. 本課題ではまず,その進化の鍵となる非局在型の室温・長寿命励起子をオリジナル材料ZAIONを用いて実現する.そしてこれを外場による励起子輸送の機構解明の場とするとともに,励起子のドリフト輸送を利用した励起子トランジスタを作製する.