本研究では、抗体分子中に張り巡らされた“分子経絡”の全体像を把握し、分子経絡の改変を通じた生体高分子の機能改変を行うことを目指す。抗体分子は内部構造の自由度に富んでおり、分子の特定の部位への摂動が運動性の変化として分子内を伝播し、最終的に遠位のドメインの性質を変化させて機能が調節されると考えられる。こうした運動性が伝播するネットワークは、いわば人体における経絡のように抗体分子内に張り巡らされていると考えられる。このネットワークを解読できれば、ツボを刺激することで遠位の部位に影響を与えるがごとく、アロステリックに抗体の機能を変化させることが可能となり、抗体工学の可能性が大幅に広がるであろう。