本研究の概要は、アジアで大きな問題となっている大デルタ地域の高ヒ素濃度問題に対して、ダム建設など人間活動による地下水位の低下と地球温暖化による海面上昇によるデルタ堆積物層におけるヒ素の挙動や微生物活動への影響やそのメカニズムを理解することで、この問題の解決を図ろうとするものである。本研究では、(1)デルタ内のヒ素に富む堆積物層に存在する微生物種を特定しヒ素挙動との関連を探る、(2)メコン川の水位低下及び海面上昇がもたらす地球生物学的プロセスを介したヒ素挙動への影響を探る、(3)デルタ内のヒ素に富む堆積層の形成時期とその推移について探る、という3つの課題を立て、未解決な問題を解明する。