現在、様々な生活習慣病、特に肥満や糖尿病が世界的に深刻な問題となっている。これらの疾病の根本的な予防と治療には、食事を含む生活習慣への介入が不可欠であり、それには我々の摂食行動が味覚を通じてどのように形成されるかを理解する必要がある。我々の口腔内に存在する味蕾は、表面側に発現する味受容体で味物質を感知し、基底側に接続する神経にその情報を伝達することで、多様な味情報を中枢へと伝えている。この味蕾が持つ極性は、味覚器の機能を理解する上で極めて重要であるが、その形成メカニズムには不明な点が多い。本研究では、味細胞培養系である味蕾オルガノイドを手掛かりに、味細胞の極性形成メカニズムの解明を目指す。