本研究は近年のミリ波・サブミリ波によるリモート観測に基づいて推定されたアンモニア蒸気の分布を切り口とし,雲対流の動的数値シミュレーションによって厚い雲に覆われた木星の大気構造に迫るものである.物質の熱力学的特性に着目した従来の研究で議論されてきたアンモニアの凝結物・化学反応生成物・水溶液の全てを取り込むことで雲解像モデルの予言能力を高め,木星大気の温度や凝結成分の鉛直プロファイルに制約を与えることを目指す.