近年、沖縄への米軍基地の過重負担の現状を受け、沖縄の女性たちから基地は「日本人」も公平に負担すべきであるという県外移設の声が生まれた。しかし一方で、軍隊による性暴力の「痛み」はどこにも移譲できないとの批判が寄せられた。結果として議論が膠着し、一地域への基地集中という課題解決の議論につながらない現状がある。 そこで本研究は沖縄の米軍基地をめぐる女性たちを中心とした社会運動当事者が、ジェンダー関係、植民地支配関係の二つのポジショナリティをどう把握、節合、克服していくのかをその「声」から明らかにすることで、複数のポジショナリティを踏まえたフェミニズムの連帯可能性を理論的に探究する。