エンジン出力に依存したコンバインの処理能力の改善は、機械収穫によるエネルギ消費の増大を招いており、所要動力の4~5割を占める脱穀部の負荷低減が求められる。しかし、穀粒損失の性能を重視し、実機試験に基づくアプローチが採られる開発現場では、省エネの設計指針は明確でない。そこで本研究では、脱穀性能の予測に基づくこぎ室の省エネ設計理論を追究する。具体的には、こぎ室に搬送される刈稈層の空間分布を再現し、刈稈層へのこぎ歯の通過軌跡を解析する。この通過軌跡により脱穀性能の予測式を作成する。本研究は、試行錯誤的に行われてきたこぎ室設計を理論的に補完し、産業活動の持続的な発展を支える省エネ設計指針を提示する。