生体を構成する細胞は、細胞外環境からのシグナル伝達と、応答する遺伝子発現により状態が制御される。組織内におけるシグナルと遺伝子発現の因果関係の解析には細胞の位置情報と、シグナル伝達の活性化状態をはじめとするタンパク質情報、トランスクリプトーム情報が必要である。しかしながらこれらの同時解析は未だ報告されていない。本研究では独自の空間プロテオーム法を開発し、空間トランスクリプトーム法と組み合わせることで、単一細胞レベルでの空間マルチオミクス解析を可能にする手法を構築する。取得されるデータから、細胞の擬似時間追跡によりシグナル伝達と遺伝子発現変動の特徴的な点及び、周囲の細胞の状態を解析可能となる。