本研究の目的は、価値観が多様化し、自分なりの「正しい生き方」を個々人が決めねばならない現代世界の状況で、衣食住という日々決断を迫られる実践的な場において、人々がどのように、どのような生き方を選択しているかを明らかにすることである。 具体的には、現代アジアの菜食実践者の生き方に着目する。多くの場合、実践の基盤となるのは仏教や一貫道などの宗教だが、近年は動物愛護・環境主義・スピリチュアリズムなどの思想も彼らの行動に強く影響し始めている。彼らが現代社会における宗教観や生命観、倫理観の変化をどのように経験・解釈し、それに合わせてどのように新たなライフスタイルを編み出しつつあるかを明らかにする。