食道がん切除後に「食道狭窄」を発症することがあり、問題となっている。食道狭窄は、上皮細胞の欠損による炎症が原因であることが知られている。そのため、上皮細胞欠損部を他の組織の細胞や人工的に作製した食道上皮細胞で補い、狭窄を予防することが望まれる。現在、口腔粘膜由来の細胞シートを移植する方法やiPS細胞から食道オルガノイドを作製する方法が確立されているが、口腔粘膜由来の細胞が食道上皮細胞として機能できるかは不明であり、iPS細胞を用いた場合も腫瘍形成のリスクがある。そこで、ダイレクトリプログラミングを用いてヒト誘導食道上皮細胞の作製を試みる。この細胞は、食道狭窄予防の新たな治療法として期待できる。