精子形成は、後生生物に共通する生命現象であるにもかかわらず、その形態的特徴や形成・成熟の分子機構は多様性に富んでいます。鱗翅目昆虫は、特徴的な幹細胞維持機構や有核・無核の二型精子形成という他の生物では見られない現象を獲得しており、精子形成の多様性を研究する上での優れたモデルです。これらの鱗翅目昆虫の形態学的な特徴は、1900年前後にはすでに報告され明らかになっている一方で、幹細胞維持や精子形成に関する分子基盤の多くは未解明でした。 本研究では、鱗翅目昆虫だけに保存された機能未知遺伝子(新奇遺伝子)の機能解析を通して、鱗翅目昆虫だけが獲得した特殊な精子形成機構の解明を行います。