有機開殻種は通常の分子には見られない磁性や近赤外吸収のような魅力的な性質を有している。しかし、不安定性な化学種であるため、その特性を活かした高い機能の発現が進んでいなかった。本研究では、近年になって構造有機化学分野で培われてきた知見を生化学分野に取り入れることで革新的な分子機能を発現させる。つまり、生体膜の化学的なモデルである脂質二重層を利用して、有機開殻種の特性を活かした可逆的な機能の発現を目指す。本研究を生体系で有機開殻種を利用するシステム設計の端緒とし、安定性との兼ね合いで応用が進んでこなかった不安定化学種の新たな可能性を開拓する。