コロナ禍・DX化の進展を背景として、所得獲得のための支出(必要経費)は多様化しており、何が必要経費に当たるかという従来の「社会通念」もまた変容している。本研究では、所得税法における必要経費の体系的な判断基準の定立あるいはその方向性の提示を目的として、必要経費控除の立法的対応(法的統制)について検討する。具体的には、アメリカ内国歳入法典に具体化された各費用の必要経費控除の規定を中心に検討し、それぞれの費用についていかなる判例法理が生成されたか、判例法理がどのように法令化されたかを明らかにするとともに、アメリカ法と日本法との比較検討を行う。