モックテータ関数は,Ramanujan最後の手紙 (1920年) において導入されたテータ関数もどきである.2002 年,モックテータ関数の崩れた保型変換理論が発見され,その豊かな世界が明らかになって以来,「崩れた保型性」の観点から多種多様なq-級数が注目されるようになった.しかし,これらの新しいq-級数は個々独立に研究が進められ,その背後に潜む保型形式的な性質が依然として不明確なことも多いため,その一体的な理論の解明が待たれている.本研究では,トポロジーや量子不変量の観点から要請されるq-級数について,明示的な保型変換を与えることで,その統一的な枠組の解明を目指す.