抗がん剤に対する多剤耐性獲得は、がん治療の妨げとなり長年問題視されている。耐性獲得のメカニズムとして、細胞外へ抗がん剤を積極的に排出するP-糖タンパク質などが知られているが、このシステムに依存しない薬剤耐性が存在している。その耐性獲得の要因として、物質分解を担うリソソーム内への抗がん剤の隔離が示唆されている。リソソーム膜タンパク質LAPTM4βは種々のがん細胞に高発現し、近年、その発現レベルが化学療法に対する感受性に関与することが分かってきた。そこで本研究は、LAPTM4βを新たな多剤耐性機構のコア因子として位置づけ、細胞内輸送機序および生理的機能を解明したいと考えている。