気孔細胞は、植物独自のオルガネラである葉緑体を保持している。近年、我々は気孔葉緑体が光やCO2などの環境情報感知に必須であり、気孔閉鎖を駆動する細胞膜型アニオンチャネルの活性制御に関与することを明らかにした。一方、気孔葉緑体を介した環境情報処理の分子メカニズムは不明である。そこで、独自に開発した気孔葉緑体単離技法を駆使した気孔葉緑体プロテオミクス解析から、複数の環境要因が同時に存在する状況や、刻々と変化する光環境に応じて、それらの環境情報を統括し、最適解を出す鍵となる葉緑体因子を発見する。そして、気孔葉緑体が司る情報処理が、植物の不均一環境適応機構の一翼を担うことを実証する。