日本のテロ対策は、極めて脆弱である。とりわけ、テロ犯罪対策は明らかに立ち遅れており、この点は、改正組織的犯罪処罰法のテロ犯罪類型の不十分さを見れば明らかである。 本研究では、「テロ犯罪に対する実効性のある抑止策とは何か」という問いに答えるべく、充実したテロ犯罪類型を有し、これに対する刑事制裁も多様であって、ヨーロッパでも特にテロ犯罪対策に積極的と思われる、フランス、ドイツ、ベルギーとの比較法分析を行う。その際、テロ犯罪の特徴を明らかにした上で、犯罪論及び制裁論(刑罰論及び保安処分論)の双方からアプローチし、テロ犯罪対策の具体的提言を行う。