無菌状態であるヒト胎児の腸管運動は微弱であり、出生後に腸内細菌をはじめとする外部環境に暴露されることで腸管運動が「成熟」、そして「維持」されることが示唆されている。腸管運動の「成熟」と「維持」の各時系列において腸内細菌が果たす役割と分子機構は未だ不明であるが、その破綻が指定難病である慢性特発性偽性腸閉塞症等の腸管運動障害と関与することが示唆される。 本研究では、マウスモデルを用いて、一旦「成熟」した腸管運動の「維持」における腸内細菌の役割と分子機構を明らかとする。動物モデルで解明された機序に基づいて、腸内細菌の視点より慢性特発性偽性腸閉塞症の病態解明と治療標的を探索する。