本研究の目的は、古人骨の形態、特に筋付着部の発達度分析を用い階層社会における社会的格差の拡大が人間の身体活動の多様性に与えた影響を検討し、モデル化することである。武家を頂点とした階層社会で列島全域が統合された江戸時代の古人骨を対象とする。個人の役割・身分が格式として明確に分離していく過程において、性別や年齢、身分・階層ごとに身体活動の差が男性と女性それぞれでどのようにあらわれるのか、さらに性差と地域性を明らかにする。これにより江戸時代の階級社会で格式や格差がどのように身体化されていたのか、ひいては階級社会の実態に迫ることを目的とする。