切除不能膵癌患者における化学療法においてその有効性・安全性を事前に予測することは難しく、個別化医療は未だ確立されていない。われわれはこれまでに超音波内視鏡下穿刺吸引法の組織検体から膵癌オルガノイド樹立に成功し、その形態学的サブタイプ分類が臨床予後や薬剤感受性に相関している可能性を見出した。この形態学的サブタイプ分類は短い期間(1-2週間)で患者にフィードバックが可能であり、化学療法レジメン選択の根拠となり得る。本研究では膵癌オルガノイドを用いた形態学的サブタイプ分類の分子遺伝学的特徴を明らかにすることで個別化治療を確立し、切除不能膵癌患者の予後延長に大きく寄与することを目指す。