特発性大腿骨頭壊死症 (ONFH)では、大腿骨頭に骨壊死が「発生」し、病理学的には壊死域・境界域・健常域の3層構造に分かれる。境界域に次第に生じる骨硬化性修復反応によって壊死域・境界域の間に応力集中が生じ骨頭が圧潰し激烈な疼痛を「発症」し、圧潰が進行し関節機能不全に至る。骨硬化性修復反応は圧潰起点となる可能性が示唆されているが、ONFHでは境界域に限局し生じる機序は不明であり、網羅的遺伝子解析や遺伝子発現の定量評価は限られている。今回、ONFHの骨硬化性修復反応が生じる未解明の病態生理に迫り、圧潰の予測方法や圧潰を予防する革新的な治療法の開発に繋がる新たな因子を探索することを目的とする。