世界最強の海流の一つである黒潮は低緯度から中緯度に暖水を運び,水産漁業,気象,海運など多分野に多大な影響を与えている。日本南岸を東進したあと黒潮は伊豆海嶺付近で流向を北に変えるが,海底地形の影響を受けるため強流帯内部の流速構造や変動が複雑で,人工衛星を使ってさえ,観測が不足していて正確に理解できていない。 そこで本研究は,伊豆海嶺付近を航行する商用船にGNSS受信機を設置し,海面からのGNSS信号の反射波も併せて受信することで船の喫水変化を除去して,黒潮域を横断する海面高度を日単位で取得する。同一航路でのデータを蓄積した後,海底地形の影響下での黒潮強流帯の細かい構造や時間変動を詳細に記述する。