ヒトは高速且つ高精度な物体識別能力を有するが、物体認識メカニズムの全容は未だ明らかでない。興味深いことに,倒立された顔が呈示されるとヒトは「顔か物体か判別できない」曖昧な状態に陥る。このように物体知覚が視覚刺激の向きに左右される背景として、刺激の物理特徴量だけでなく身体との関連性や馴染み深さが倒立効果に影響する可能性がある。そこでヒトには刺激カテゴリーに依らず、無意識下で「正立」している物体を好む認知メカニズムが備わっているという仮説を立てた。本研究では視覚刺激の意識的な見えを操作する連続フラッシュ抑制(CFS)を用いて倒立効果の解明に挑戦をする。